■本人の主訴
・他院で埋没法を行ったものの二重にならなかった
・黒目にまぶたがかぶさっている状態を改善したい
■当院医師の見解
他院で二重埋没法を行ったものの、ほぼ変化がなくまぶたが開けにくい状態が続いているとのことで来院された方の症例です。ここ最近、二重整形と眼瞼下垂術がいずれも「二重まぶたにする」ための手術として同じように扱われているように感じますが、実際にはこの2つの手術の内容は全く違っており、どちらの手術が適しているかは症状によって異なります。そのため眼瞼下垂の疑いがある方に対して二重埋没法を行っても、術後に二重まぶたにならないどころか逆に目の開きが悪くなることもしばしばあります。術前に医師が正しい診断を行うことが、このような失敗を防ぐためのポイントです。
上は、実際の術前後の写真です。開きにくそうだった一重の目元が二重ラインになり、黒目もしっかり見える状態になっています。
■手術について
術前後で目の開きがかなり改善しているため、余った皮膚を大きく取り除いていると思われるかもしれないですが、実は皮膚切開はほんの数ミリしか行っていません。(写真3)
この方の場合、まぶたが下がっている原因がまぶたの脂肪や厚みではなく、目の開閉を担っている「挙筋腱膜」という部分の動きが良くないことが原因だったので、今回の手術ではその部分の修復を中心に行っています。なお、埋没法によって埋め込まれた糸(埋没糸)によって眼瞼下垂が生じることがあります。この方はそのケースであった可能性が高いですが、もちろん必ず生じるということではありません。
実際に埋め込まれていた糸の様子です。(写真4,5)黄色の矢印で差している部分が糸です。かなり長い糸が使われているため、この糸の存在が挙筋腱膜の動きを阻み、術後に目の開閉が悪化してしまった可能性が大きく考えられます。
今回は埋没糸を摘出した後に、挙筋腱膜の位置を元通りに修復し、最後に二重のラインを作りました。(写真6)
挙筋腱膜を固定する際に気を付けないといけないのは、腱膜を止める位置によってまぶたから黒目が見える範囲が変わる点です。そのため私の場合は、術後に違和感がないように座ったり寝た状態を実際に繰り返していただき、目の開きを確認してもらっています。
※本症例の関連動画はこちらです。
(出血シーンなどがあるためご注意ください)
■術後の様子
術後の様子です。(写真7)
術後の腫れや赤みは個人差があるため、あくまで参考として見ていただきたいですが、この方の場合は3か月程度でかなり傷が落ち着きました。なお術前の目を閉じた状態もお見せいたします。(写真8)
■留意点
メスを使用せずに二重まぶたにすることができる二重埋没法は、様々な美容医療の中でも人気のある手術の一つですが、場合によっては埋没糸が皮膚組織(今回の場合は挙筋腱膜)を傷つけてしまうこともあります。できるだけ糸は短く使用すること、さらに糸を通す際には他の組織を傷つけないようにすることが大切です。いずれも基本的なことですが、今回の症例のように目の開閉に影響が出てしまうこともあるため注意が必要です。
■手術における副作用・デメリットなど
手術後に赤み、腫れ、内出血などが生じることがあります。一時的に術前よりも悪化して見えることがあります。
■手術費用 ※価格はすべて税込み
- 埋没後の二重切開(埋没糸の有無に関わらない)切開法(両側)
- 473,000円