■本人の主訴
・韓国の美容外科にて目尻切開を行ったところ、形状が不自然(目尻が下がりすぎ)になった上に、目が乾く(ドライアイ)、下まつげが目に当たる(逆さまつ毛)といった症状が出てきた。
■当院医師の見解
目尻切開術は、目の横幅(外側の白目部分)を大きくする効果がある手術です。やりすぎると、目尻だけ「アッカンベー」をしているような不自然な状態になることが多いため、個人的にはできるだけ控えめに行ったほうが後悔が少ない手術だと思っています。
今回相談に来られた方は、他院で目尻切開を行ったところ不自然な形になってしまった上に、ドライアイや逆さまつげ(下まつげが目に入る)といった機能障害も起こしていました。このような場合は、靭帯移動術を併用した修正手術を行うことになります。
■手術について
上を向いた状態で比較すると変化がわかりやすいため、先に術前(写真3)と術後2か月目(写真4)の変化をお見せします。
術前は目尻側が不自然に下がり赤い粘膜部分が見えていましたが、術後はそれらが改善されているのがわかります。数ミリ単位の変化のため写真ではなかなか分かりにくいかもしれませんので、複数の角度での状態をご紹介します。
斜めからみた術前(写真5、7)と術後2か月(写真6、8)の状態です。術前は目尻付近の下まつげのラインが弓状になっていますが、術後の写真ではラインがかなりまっすぐになり、目尻に綺麗な三角形ができているのがわかるかと思います。
今度は横から見てみます。術前(写真9、11)と術後2か月(写真10、12)の状態です。術前(写真11)は、目尻が黄色の矢印で示した方向に引っ張られているのが伝わりますでしょうか。
このような目尻が引っ張られた感じがなぜできるのか、またそれをどんな形で修正しているのかについて解説します。この部分が引っ張られたような状態になっているのは、目尻の靭帯を骨膜という部分に強く固定しすぎているのが原因です。この固定をはずすためには骨膜に固定された靭帯をいったん外す必要があるため、まずは白い矢印で示した部分に切開を加えます。(写真13)
次に、内部で癒着している部分(黄色の矢印部分)を丁寧に剥離します。(写真14)出血させるとラインに変化が生じてしまうため、慎重に血管を傷つけないように作業を行う必要があります。
その後、靭帯の固定位置を修正して手術は終了となります。
この手術では細かく様々な部分で糸を固定するため、術後はたくさんの糸が付いた状態になります。(写真15)
※本症例の関連動画はこちらです。
(出血シーンなどがあるためご注意ください)
■術後の様子
斜めからみた術前(写真5、7)と術後2か月(写真6、8)を再掲します。
術前は目尻付近の下まつげのラインが弓状になっていますが、術後の写真ではラインがかなりまっすぐになり、目尻に綺麗な三角形ができているのがわかるかと思います。
■留意点
目尻切開術はクリニックや医師によってバリエーションが様々ですが、中にはドライアイなどの機能障害が生じたという事例もあるため、医師選びは慎重に行うようにしてください。
さらに海外の美容外科で手術を受ける際には、医師の技術力の他、感性や文化の違いもあるため、事前に術後のイメージをしっかりと共有することがポイントです。またカウンセリングや診察の際に、言葉やコミュニケーションの壁などを感じた際には、一度手術を思いとどめる勇気も必要かもしれません。
■手術における副作用・デメリットなど
修正手術では、前回の手術によって生じた癒着している組織を剥離するなど、初回の手術では行わない緻密な作業が発生します。そのため一度目よりも、術後の腫れや赤みが長期化する可能性が高いです。
■手術費用 ※価格はすべて税込み
- 目尻切開修正(靭帯移動移動が必要な場合)
- 518,400円